窓辺から空を見上げる1人の男がいたが、その瞳には何も映ってはおらずよどんでいる。そうし始めてかれこれ数時間過ぎているのだが、彼は飽きもせず空を見上げる。
いや、これからここに来る少女のことを考えていた。
"彼女"に最後に会ったのは何時のことだっただろう。ずっとあそこに閉じ込められていた"彼女"にようやく会える。姿かたちが違えどもあの輝きは決して変わることがなく、彼が待ち続ける永遠に手に入れることは出来ない"彼女"。
ふ、といつの間にか閉じていた瞳を開き、彼は視線を部屋の中に向ける。
「セシル様、彼もの達がこちらに到着いたしました。至急神殿までおいでくださいませ。」
彼は無言で肯くと、窓辺から離れ歩き出す。待ち続けた存在に会いに行くために。
彼のよどんだ瞳は強い意志を秘めたものに変わっていた。
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