誰かを犠牲にしなければならない世界。
 悪を定め、同族同士の争いを少なくすることが目的。
 その理を失うことは世界が、星が生まれ変わるということ。
 強制的な世界の終焉。
 世界の仕組みを変えることは、世界を終わらせ、新しい世界を作ること。
 星は人に問う。

 悪を滅ぼす事による 世界の改変を望むか
 悪を生かす事による 緩やかな生を望むか

あなたは、どちらを選びますか?

 本当の自分は何なのか。
 人は己の人格を作りながら生きていく。
 
(何かを奪い、生み出し、壊して生きていく)
 
 ならば、本当の自分などというものは、自分が作り上げた人格の中で、自分が一番気に入ったものになるのだろうか。

自分とは

 人を殺すなら、殺される覚悟をしろ。

 そう、言われた。
 けれど、そんな覚悟、出来るはずがない。
 私は死にたくなかったから、生きるために私を殺そうとした奴を、殺した。
 私は生きたいから、私を殺そうとする奴を殺す。

 殺される覚悟などしたら・・・殺されることを受け入れたら、そう遠くない内に自分は死ぬだろう。
 だから、私は殺される覚悟などしない。
 生き続けるために。

 そして忘れない。

 私が生きるために、同胞をこの手にかけたのだという事を。
 生きるために、他の生命を食い続けている事を。

生きるための、覚悟

 私が生まれたら、どこへ行くのでしょうか。
 一つだけ、知っている。
 生まれたその人が私自身ではないという事。

 卵が割れ、何が出てくるのか。
 それを知ることが出来るのは、殻が割れた後だけ。

 私を守る盾があれば、私を貫こうとする矛がある。
 ただ、それだけのこと。

 思いを伝えるのは難しい。
 だからこそ、それを共有できたと感じたとき、私たちの胸には喜びが生まれる。
 たが、まあ。
 必ずしも喜びが生まれるとは限らないが。

割れた後は

子どもの世界はね
大人が思っている以上に広いけれど
大人よりは狭いのよ
 人は成長し、揺らぎ、自分を変えていく生き物だ。
 だから、本当の自分なんて確定してものが実際にあるのか、疑問に思う。

 そんなものが本当にあるのならば、それは成長を止めた、歪んだものに見えるだろうと思う。
 それは本当に人間なのか。

 そんなものを持っている人に出会ったら、その人にはこちらが歪んでいるように見えるのだろうか。

 私の好きな人は、多くの人に愛されています。

 幼い頃は、私たち2人の小さな世界で幸せに過ごしていたのに、大きく広い世界へと続く扉を通って、あの人は私たちの小さな世界から飛び出して行ってしまった。
 私を置いて、あの人は私のいない、私の知らない世界へと行ってしまった。
 寂しくないと言えば、嘘だ。
 それでも、私はあの人を引き止める事ができない。
 時折帰って来るあの人が、嬉しそうに外の話をする姿から、私のいない世界を愛している事を分かってしまったから。
 あの人に嫌われないために、私は私からあの人を奪う大嫌いな外の世界へ行かないでと、決して言えない。
 いつか、あの人は私のいる小さな世界へ戻ってこなくなるだろう。

 あの人の中からいつ、私は消えてしまうのだろうか。
 あの人の中に私がいる内に、この小さな世界から消えてしまおうか。

 いつか忘れてしまうなら、少しでも大きな爪痕をあの人に残してしまいたいと思う私は、ひどく最低な人間だ。
 分かっていても、それでも私は、願ってしまう。

 あの人の中で永遠の存在であり続けたいと、愚かにも望んでしまう。

短文14  Novel  短文16