その日は季節は春のはずなのに、とても日差しが強く暑い日だった。
そんな暑い気温の中、私は一人、公園へ涼みに来ていた。夏になるまで冷房は使わない、という我が家の決まりの為、家に居たら熱で頭が沸騰してしまう。
ここに来るまでの途中で大好きなアイスを買い、木陰にあるベンチで堪能する。
ああ、甘くて、冷たくて。
生き返るなぁと、休みなのに人がほとんどいない公園で、一人。
アイスを半分食べたころ、私の視界に2人の人物が飛び込んできた。
ああ、だから。
アイスを食べる事を中断してしまうが、暑い気温でどんどんアイスは溶けていく。
好物が溶けて食べれなくなっているのにも気付かず、私は唯見つめていた。
2人は私に気付くことなく、離れていく。
彼らが見えなくなる頃、いつの間にか身体の脇に下がっていた手から、アイスが地面へ。
ああ、やってしまった。
落ちて食べれなくなったアイスを見るが、何時もなら感じる悔しい気持ちが湧いてこなかった。
そんなにショックだったのかと、自分に笑ってしまった。
新しいものを買うお金なんて持ってきてない。
手持無沙汰になってしまったが、家に帰る気力もなければ、あの暑い空間に帰りたくもない。
つまるところ、落ち込んでいる自分の体力は当分戻らないだろう。回復アイテムは今や小さいアリの餌となり下がっている。
もうこの唇に触れるものはない
title:
確かに恋だった