「あっちぇ…はっけぇの食いてぇ。なぁなぁ、アイスねえ?」
「アイスはねえけども、ジュースなら冷蔵庫ん中入っとったよ」
「何の?」
「カルピス」
「わーい!おめーもいるか?」
「おう」
「あ、これ原液のやつか。おれこれよう分からんのよね。おめさん分かるかや?」
「そんなん適当に作ればいあんだ」
「ほーい。変なんなっても文句言わんでな〜」
「薄いか濃くなるかだけで変にはならんだろ」
「いや、ここに二種類のカルピスがあるっけ混ぜてみようかと…」
「それ、自分で飲めよ」
「水入れて〜よくかもさんといけんなぁ…わぉ見た目は普通のカルピスだぜ!」
「不安になるようなことを」
09/09/12
「他人の死を奪う代わりに、己の生を捧げなくてはならない」
女は過去となった愛おしい記憶を思い出していると分かる、悲しげな表情をその美しい顔に浮かべていた。
そんな彼女を見つめるのは、遠く離れた場所にある夜空に浮かぶ美しい月と一人の男。
「あの戦場を見てそう考えてしまった時から、私は他人に死を与えて己に生を押し付けている。」
女は先程の表情から乾いた笑いにすり替える。
まるで泣いているようだと、ただ耳を傾けていた男は思った。
「彼と違って、私は臆病だから」
この世に絶対なんてない。
そう言って、意固地になってたわたしを解き放ってくれたのはあなた。
「まあ、初めて会ったときはホンットに失礼な、嫌な奴だという印象だったわけですが」
そう言葉を発した彼女。前を歩いていた彼は振り返る。
「は?」
「初めて会った時の話」
怪訝そうにこちらを見た彼に先程の言葉の内容を伝える。
「ああ。というか何故に今それを言う?」
表情を変えずに彼は彼女に問う。
「その頃のこと思い出したから」
答えは単純明快でしょ?と言う彼女に、彼はあっそと言い再び歩き始めた。
「いやいや。そんな出会いから印象が最悪な人と、まさか、ねぇ」
人混みを抜け、少し広い場所に出ると彼女は彼の隣りに並んで歩く。
歩きながら意味ありげに彼を見上げると、思ったとおり、彼女の言いたいことが分かった彼が眉間にしわを寄せていた。
そのことに彼女は笑いがこみ上げてくる。
「嫌なのか」
どうやら不機嫌になってきたのか、ちょっと彼の声の質が変わった。
だがそれに動じず、彼女は続ける。
「はっ。嫌だったらとっくに貴方の前から居なくなってますし、承諾しません」
それでも少し意地が悪い彼女は告げる。
「なんだかこんなに貴方無しだと生きていけない!ってほど惚れさせられたことが少し悔しいだけです」
本心からの言葉を彼に告げると、案の定真っ赤になってしまった。
あまり物事に動じない彼が顔を赤く染めるのは、照れているのと嬉しいのが一気に来た時の証。
こうやって『ああ、愛されてるな』と確認するのは、やはりひねくれている証拠なのでしょうか?
10/01/24
どうしても欲しいものがあった。
それはあまりにも心焦がれるもの。
でもそれを手に入れるためには今自分の周りにあるものを全て失わなければならない。
失ったことを淋しく思うこともあるだろうが、きっと自分はそのことを直ぐに忘れてしまうだろう。
今まで培ってきたものを全て失ってでも手に入れたい、と決断してしまうほどの欲しいものがあることは、
幸せだろうか 不幸だろうか
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